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新潮流「再生建築」―その価値をいっそう高めるHUAWEI蓄電ソリューション
2022/11/18
築50年を超えた鉄筋コンクリートのビルを、新築同然に再生する建築手法「リファイニング」。マイナス資産をプラス資産に変えるその取り組みにおいて、いま蓄電システムが、さらなる資産価値向上と地域貢献の柱になろうとしている。10月27日、前日に竣工したばかりの建物を訪ねた。
メイン画像:太陽光・蓄電システムが設置されたリファイニング建築の屋上。
築50年の建物が新築同然に
各種補強で現行法もクリア
岐阜県南西部の都市、大垣市の閑静な住宅街にその建物はあった。訪れたのは、築55年を迎える鉄筋コンクリート造の4階建ビルを完全リニューアルした再生建築だ。55年前の骨組みを活かしつつ、耐震補強などを行って現行法レベルの耐震性を確保。もとの内外装を撤去し、スケルトン状態から新たな仕上げを施したというその姿は、どこから眺めても新築にしか見えない。
リファイニングによって再生された鉄筋コンクリートの建物。(写真提供:内藤建設)
屋上には太陽光発電設備と蓄電システムが搭載され、1階には電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のための充電器を備えたガレージが配置されている。見た目だけでなく、建物としての性能や設備も最新のビルに引けを取らない。この建物を手掛けた内藤建設(本社:岐阜市)の代表取締役社長・内藤宙氏は、同物件は“リファイニング建築”であるとして、次のように話す。
内藤建設株式会社 代表取締役社長 内藤宙氏
「リファイニングとは、建築家の青木茂氏により提唱された再生建築手法で、構造躯体を再利用しながら、大胆なデザイン転換や用途変更、設備一新を図ろうとするものです。リフォームやリノベーションとは異なり、耐震性能等を強化することで現行法規に適合させることができ、新築同様に検査済証も交付されます。建て替えの約70%のコストで、構造躯体以外は新築と変わらない建物に生まれ変わらせることができるのです」。
さらに、老朽建築物を建て替える場合には、当時はなかった規制により、高さが制限されてしまうことが多い。今回の物件は昔も今も4階建だが、旧建物を取り壊して、同じ場所に新たに建てようと思ったら、2階建までしか許可されなかったはずだという。リファイニング建築には、現場の建物容積を維持できるというメリットもあるのだ。
内藤建設が蓄電システムを
導入した理由とは?
今回、リファイニングされた建物は、内藤建設の自社物件であり、同社大垣支店が居を構え、長く社員寮として使われていたところでもある。今後は、引き続き大垣支店および社員寮として使うとともに、一部フロアを賃貸住宅として運用する。蓄電システムは、同社としても、ここで初めて導入に踏み切ったものだ。
「リファイニングは、地球環境に優しい手法です。あるお客様のケースでは、従来の立替工事に比べ、CO2排出量で80%以上、建設廃棄物排出量で50%以上を削減することができました。リファイニングは、ESGの観点からも推進すべき取り組みだといえるでしょう。環境に優しいという価値を、よりいっそう高めるために、リファイニング建築においては省エネ・創エネに役立つ設備を積極的に導入すべきだと考えています。
これまでの案件では、蓄電システムまで求められることはありませんでしたが、今回は弊社自身の物件ということもあり、モデルケースとして導入しました。お客様にご提案する前に、自らの物件で試しておきたかったのです。ここでの運用を通して、知見を蓄積し、お客様への提案に活かしていく方針です。
太陽光で発電した電気を貯めておけるということは、BCP対策としても大きな意味を持っています。また、万一の災害時には、地域の防災拠点としても機能します。弊社は創業以来75年、地域社会に根差して存続発展したきた会社です。このビルのリファイニングにあたっては、少しでも地域の皆様に喜ばれるものにしたいと考えました」。
災害に強い基本設計と拡張性
地域の建設ドクターであるために
同社が導入した蓄電システムは、ファーウェイの蓄電システムLUNA2000シリーズだ。数ある蓄電池の中から、これを選んだ理由はどこにあったのか?
蓄電システムLUNA2000シリーズ。ここでは2つの蓄電池モジュールを組み合わせて実効容量10kWhのパッケージにしている。
「蓄電システムの選定にあたって重視したのは、パッケージングと拡張性です。この建物では共有部分(廊下・エントランス・エレベーター)と弊社事務所(大垣支店)の一部電力を屋上の太陽光で賄っていく計画ですが、BCP対策の観点からは、蓄電池が故障した場合のことが課題でした。故障してしまったらお手上げという状況だけは避けたかったのです。
ファーウェイの蓄電システムは、1つ5kWhのモジュール型蓄電池を組み合わせたパッケージングになっています。万一モジュールの一つが故障しても他のモジュールが働き続けるので、完全に駄目になるということがありません。これは大きな安心材料でした。
さらに、このモジュールは後から追加することもできるので、入居者が増えたり、EVとの連携を強化する場合などにも容易に対応可能だと判断しました。現状では、約10kWの太陽光発電設備に、2つのモジュールあわせて10kWhの蓄電システムを導入していますが、近い将来15kWh、20kWhと段階的に増やしていこうと考えています。こうした拡張性の高さも、ファーウェイ製品が他社より抜きんでていたところです」。
建物1階にはEV充電器を装備したガレージが並ぶ。太陽光・蓄電システムとの連携を想定した設備だ。
同物件では、それぞれの太陽光パネルにファーウェイのオプティマイザを設置して、発電量の最大化を図っている。これについて内藤氏は、「屋上の限られたスペースで効率よく発電させるためにオプティマイザも取り付けました。午前中に影がかかってしまうパネルがあるのですが、その影響をどの程度抑えられるかを検証したいと思っています。蓄電システムとの相乗効果についても期待しています」と話す。
内藤建設は、“地域の建設ドクター”を目指しているという。
「私たちは、マイナス資産となった古い建物を壊して捨てるのではなく、環境にも優しいリファイニングによってプラス資産に変えていきたいと思っています。人のからだに“かかりつけ医”がいるように、古い建物を診断してプラスに変える処方箋を提供できる地域の建設ドクターになりたいのです。
太陽光・蓄電システムは、再生建築(リファイニング建築)に付加価値を与えるものです。これまで述べてきたESGやBCPにとどまらず、電気代高騰が続く昨今では自家消費を中心に、ますます欠かせない存在になろうとしています。一般家庭からビル、工事、倉庫まで、そのニーズは大きくなるばかりです。ファーウェイさんには、今後いっそう幅広いソリューションと参考になる成功事例をご提供いただき、共に地域社会の発展に貢献していくことができればと願っています」(内藤氏)。