発電側課金、割引相当額の検討が大詰め。一般送配電各社がこの秋にも公表へ

発電側課金、割引相当額の検討が大詰め。一般送配電各社がこの秋にも公表へ

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発電側課金、割引相当額の検討が大詰め。一般送配電各社がこの秋にも公表へ

2024年度に導入が予定されている発電側課金の検討が大詰めを迎えている。この秋にも割引相当額を考慮した課金単価が公表される予定となっており、一般送配電事業者における割引相当額の検討は最終的な段階に入っている。

発電側課金の合計3856億円
エリア別に課金単価を設定

発電側課金は、電力系統を効率的に利用し、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた系統の増強を行いやすくすることなどを目的に、系統の維持・拡充に必要な費用の一部を発電事業者にも求める新しい制度だ。

これらの費用はこれまで、小売電気事業者を通じて需要家が全額負担していた。2024年度からは費用の1割を発電事業者が負担する。それに伴って、需要家が電気料金の一部として支払っている託送料金が減額される見通しだ。

(一般送配電事業者が発電側課金で回収する費用額。試算値・単年度ベース。出典:電力・ガス取引監視等委員会)

電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合は7月、一定の想定のもとに発電側課金の合計額を試算した。試算によると、一般送配電事業者が発電側課金によって1年間に徴収する金額は、全国の合計で3,856億円。エリア別では、東京電力エリアの1,193億円がもっとも大きく、沖縄電力エリアの31億円がもっとも少額だった。

(発電側課金の課金単価に関する試算。出典:電力・ガス取引監視等委員会)

また、kW課金単価は全国平均で75.13円、kWh課金単価は0.26円。エリア別では、北海道がもっとも高くkW課金単価が99.66円、kWh課金単価が0.30円と試算された。
 

2パターンの「割引」検討進む
系統の負担減らすインセンティブ

実際に一般送配電事業者が発電事業者に課金をする際には、kW課金単価に割引相当額が付加される。割引相当額は、発電所の立地条件によって2パターン検討されており、電力系統への追加投資が少ない場所に発電所の設置を誘導するためのインセンティブと位置付けられている。

(割引制度の概要。出典:電力・ガス取引監視等委員会)

割引相当額の2パターンは次の通り。まず、「割引A」は、基幹系統に与える影響に着目した割引だ。基幹系統の将来的な投資を効率化し、送電ロスを削減する効果のある電源について割引される。

次に、「割引B」は、基幹系統の下位にあたる特別高圧系統の将来的な投資を効率化する効果のある電源について、発電側課金を割り引くとされている。

電力・ガス取引監視等委員会によると、これらの割引相当額は一般送配電事業者各社において検討されており、発表の見通しはまだ明らかにされていないという(2023年9月20日現在)。

10月6日(金)のPVビジネスセミナーでは、京都大学大学院再生可能エネルギー経済学講座の特任教授 安田 陽 氏が、発電側課金や出力制御をめぐる最新の動きを交えながら「太陽光発電の国際動向と日本への示唆 」というテーマで講演する。

 

生活者の脱炭素を「自分ゴト化」、日本総研が産学連携の創発型コンソーシアムを設立

日本総研は9月5日、生活者の脱炭素の取り組みを促すため、Daigasエナジーやアサヒグループジャパンなどとコンソーシアムを設立すると発表した。参画企業の実店舗に売り場を設けるなどして、生活者の行動変容に関する実証実験を始める。

生活者と企業の共創の場
グリーンな市場を生み出す

(CCNCの参加企業。出典:日本総合研究所)

日本総合研究所(日本総研)は9月5日、一般の生活者のカーボンニュートラルの取り組みを加速させることを目的とする、生活者と企業による創発型コンソーシアム「チャレンジ・カーボンニュートラル・コンソーシアム(CCNC)」を設立すると発表した。

コンソーシアムに参画するのは、脱炭素支援パートナーのDaigasエナジー、メンバーのアサヒグループジャパン、サラヤ、三幸製菓、日本ハム、ユーグレナの製造業5社、スギ薬局と万代の小売業2社、カーボンフットプリントの算定を担うアスエネだ。サポーターとして、人を動かす「仕掛学」で知られる大阪大学大学院経済学研究科の松村研究室や、京都精華大学、京都芸術大学も参加する。

CCNCは、日本総研のシンクタンク・コンサルティング部門のパーパス「次世代起点でありたい未来をつくる。傾聴と対話で、多様な個をつなぎ、共にあらたな価値をつむいでいく」を実現するために立ち上げられた「グリーン・マーケティング・ラボ(GML)」における取り組みの第一弾だ。

(設立発表会で挨拶する日本総研代表取締役社長の谷崎勝教氏。)

都内で開催された設立発表会では、代表取締役社長の谷崎勝教氏が「GMLは、くらしの視点で、生活者と複数の企業の共創の場を組成し、買い物・教育・お金の切り口からグリーンな市場を作っていくことを目指します。GMLのキックオフとなるCCNCでは、脱炭素を“自分ゴト”にしていくために、生活者の行動変容を促す実証実験などに取り組みます」と述べた。
 

実店舗の売り場で実証実験
来年1月に4店舗でスタート

(CCNCでの活動。出典:日本総合研究所)

CCNCでは、参画企業による情報交換・勉強会や脱炭素に関する情報発信・啓蒙活動のほかに、創発型実証実験「みんなで減CO2(ゲンコツ)プロジェクト」に取り組む。具体的には、参画企業の商品を参画企業の実店舗で販売することで、生活者が脱炭素に触れる機会を増やし、日本総研がつくるアプリを通じて生活者が脱炭素に関してより深く学ぶ場を提供するという。

これによって、参画企業は「グリーンな商品・売り場の開発に係る仮説検証の場」を得られ、生活者は「グリーンなくらしの体験実践の場」を得ることが期待される。実証実験は、2024年1月に東京・名古屋・大阪・神戸の4つの店舗を活用して行い、3月末を一旦の区切りとするものの、次年度も拡大や発展を予定している。実証実験によって得られた知見は、国や自治体への政策提言にも活用していく考えだという。
 

「社会に旋風を巻き起こしたい」
脱炭素の“自分ゴト化”を進める

(設立にあたっての挨拶で意気込みを語るDaigasエナジー代表取締役社長の井上雅之氏)

脱炭素支援パートナーのDaigasエナジー代表取締役社長の井上雅之氏は、設立にあたっての挨拶で「エネルギーの枠を超え、お客さまと社会に寄り添って共に発展し続けるパートナーを目指し、さまざまなソリューションを提供していきます。CCNCの取り組みによって社会に旋風を巻き起こしたい」と意気込みを語った。

また、参画企業のアサヒグループジャパン、ユーグレナ、アスエネは設立発表会でパネルディスカッションを行い、脱炭素を“自分ゴト化”するためにどのような取り組みを行っているか、生活者とのコミュニケーションでどのような点に難しさを感じているかなどを議論し、グリーンな市場を生み出して生活者の脱炭素を加速する重要性を再確認した。

DATA

チャレンジ・カーボンニュートラル・コンソーシアム(CCNC)


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

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