「公平なコスト負担」が鍵。サウスカロライナ州が取り組むピークシフトと太陽光の導入促進

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「公平なコスト負担」が鍵。サウスカロライナ州が取り組むピークシフトと太陽光の導入促進

ネットメータリングに季節・時間帯別料金とクリティカル・ピーク価格が適用され、サーモスタット同時導入には太陽光発電に補助金支給という、ピーク需要抑制を目的とした新たな太陽光発電プログラムの到来だ。アメリカ在住のアナリストが読み解く!

トップ画像:サウスカロライナ州では「包括的」な太陽光発電普及プログラムが始まろうとしている。出典:Duke Energy

ピーク需要を抑制する
サウスカロライナ州の新制度

米国太陽光発電であまり話題をもたらしたことのない南東部に位置するサウスカロライナ州で、「包括的」な太陽光発電普及プログラムが始まろうとしている。

今年9月、米国大手電力会社であるデューク・エナジーが、米国太陽光発電関連企業、そして環境保護機関などのサポートのもと、電力顧客に、「ソーラー・チョイス・ネットメータリング」と呼ばれる新たに改定されたネットメータリング制度に加え、太陽光発電導入用補助金プログラムを発表した。

デューク・エナジーは、米国5つの州で電力事業を展開しているが、電力規制下のサウスカロライナ州では、デュークエナジーカロピーク需要を抑制するサウスカロライナ州の新制度ライナ(DEC)とデュークエナジープログレス(DEP)の2つの子会社を通して、約73万人の顧客に電力を供給している。「これは国内で最も包括的なネットメータリング改革だと思います」と、デュークの料金設計・戦略的ソリューション事業の副社長であるロン・ヒューバー氏は語る。

ちなみに、ネットメータリングとは、日本の余剰買取制度に似ているが、電力売電による投資目的ではなく、「自家消費」の促進に基づいている。ソーラー・チョイス・ネットメータリングが、従来のネットメータリングと違う点は、余剰電力が発生した時、固定価格の買取ではなく、時間帯や電力会社がピーク需要を経験する時期によって異なる変動型価格であることだ。

平常時は季節・時間帯別料金だが、需給バランスや卸電力価格の高騰という特定条件下では、クリティカル(重要)ピーク価格(CPP)が適応される。クリティカル・ピーク時の電力買取価格は、通常平均のkWhあたり米10セントに比べ、25セント/kWhと割高に設定されている。具体的に、ピーク時間帯は冬季の午前6時から午前9時までと午後6時から午後9時、そして夏季の午前6時から午前9時。

最も電気料金が割安になるスーパー・オフピーク時間帯は、3月から11月の深夜12時から午前6時となっている。CPPは、冬季の指定された電力需要が高い日に適用されることになっている。つまり、冬季のピーク時に電力消費削減を促す仕組みだ。CPPが適用されるのは年間20日までとなっている。

「ソーラー・チョイス・ネットメータリング」余剰電力買取価格(c/kWh)

 


出典:Duke Energy

 

公平なコスト負担を実現
2つの料金制度


全電力需要家間で送配電網の運営や維持・管理費などの固定費の負担を公平に。 出典:Duke Energy

このネットメータリング制度でもう1つ重要な点は、全電力需要家にコストが公平に負担されるようになっていること。2015年前後から、「ネットメータリング制度は太陽光を所有しない電力需要家にとって不公平だ」と主張する電力会社が増え始めた。太陽光発電設備の所有者は、発電電力で消費電力を相殺し、電気料金の支払いを減らせ、それに伴い電気料金に含まれる送配電網の運営や維持・管理費などの固定費への支払いが減るが、その分、太陽光発電の非所有者に対するコスト負担が増えてしまう、というのだ。

サウスカロライナ州では、この「不公平」を避けるため、新規ネットメータリング参加者に2つの料金を含めることになっている。デュークが送電および配電網から電力を供給するための固定費を引き続き徴収することを保証するための最低月額電力料金(30ドル)。そして15kWを超える太陽光発電には、月額グリッドアクセス料金(配電網使用料)(DECの場合は5.86ドル/kW/月、DEPの場合は3.95ドル/kW/月)を課することになっている。

電力需要削減を促す
サーモスタットと太陽光発電


太陽光発電の余剰電力が発生するとメーターが逆回りして電気料金削減につながるネットメータリング制度。 出典:Duke Energy

新規に屋根置き太陽光発電を導入する顧客で、デュークが指定するスマートサーモスタット(温度調節・管理機器)の設置に同意した場合、太陽光発電導入に対して補助金が支給される。ちなみに、これは「冬季スマートサーモスタット・プログラム」と呼ばれ、冬季の電力ピーク時の電力需要削減を促進するものだ。電力会社が特定の条件下で暖房レベルを下げるなど顧客のサーモスタットを直接制御することによって、電力消費量の抑制や、電力消費パターンの調整ができる。

このプログラムに登録すると、登録した月の電気料金請求から75ドル割引される。さらに、毎年1年後に25ドルが引かれる。太陽光発電に関しては、1Wあたり米36セントの補助金が支給される。補助金の上限は5kWまでで、最大1800ドルが支給される。

太陽光発電を含むクリーンエネルギー導入の政府政策・規制を促す米非営利団体ボート・ソーラーで、南東部地域ディレクター兼規制顧問を務めるサド・カレイ氏は、スマート・サーモスタットの導入により参加顧客から冬季のピーク時に最低1から1.5kWの電力需要の削減が期待できると語った。さらに、このプログラムに参加しないソーラー顧客が出ると思うが、それらの顧客はCPPに対応することにより、電力需要の削減に貢献するだろう、と付け加えた。

これらのプログラムはサウスカロライナ州の規制当局によって承認を受けなければならないが、電気料金制度とデマンドレスポンスに助成金を組み合わせることにより、ピークシフトと太陽光発電導入拡大に上手く導けるかもしれない。


文/モベヤン・ジュンコ

SOLAR JOURNAL vol.35(2020年秋号)より転載