冬季の太陽光発電を可能にする、日本仕様の高機能除雪システム登場!

冬季の太陽光発電を可能にする、日本仕様の高機能除雪システム登場!

https://solarjournal.jp/solarpower/44461/

冬季の太陽光発電を可能にする、日本仕様の高機能除雪システム登場!

雪深いドイツ・アルプス山脈で鍛えられた除雪システムが、日本仕様にアップデートされて上陸した。ドイツ生まれのSunBrushの高機能除雪システムがあれば、冬季の発電機会も逃さない。

メイン画像:東北の複数の案件で稼働中! 2021年の冬から山形県などでのリース案件で8台の除雪システムが活躍している。スタッフも派遣され、スムーズな除雪作業が進行中だ。

パネルから地面につながる雪
想定外の荷重で破損の原因に

SunBrushは、もともとはドイツで洗車用ブラシの開発を行っていた。同社のブラシは、自動車の窓や車体を傷つけず、きれいに洗い上げるのが特長。この長所を活かして、10年ほど前に太陽光パネル掃除のためのブラシを開発した。SunBrush Japanは、ドイツのSunBrushの販売総代理店として2021年春に設立された日本法人だ。

SunBrush Japanが日本で解決を目指すのは、太陽光パネルへの積雪の問題だ。北海道や東北、北陸といった降雪の多い地域では、太陽光パネルへの積雪が大きな課題となっている。こうした豪雪地帯では、太陽光パネルに降り積もった雪が地面の積雪とつながってしまうことが問題視されている。なぜなら、パネル上の積雪と地面の積雪とつながって氷となり、この重さによって太陽光パネルに大きな負担がかかるからだ。

積雪の放置は太陽光発電所の損壊に至る

降り積もった雪の重さを侮ってはいけない。地面の積雪とつながって氷となると、その荷重は3倍以上になることもある。その重さでパネルが湾曲、損壊する事故が毎年多発している。

雪が氷になると、重量が増す。パネル上から地面まで一続きとなった氷が太陽光パネルにしなだれかかり、通常の積雪の3倍近い荷重になるという。豪雪地帯ではこの荷重が設計時の荷重をはるかに超えることがあり、パネルの反り湾曲破損といった被害が発生してしまう。雪解け後には、こうした被害が毎年のように発生しており、雪の多い地域の発電所オーナーにとって大きな課題になっているという。

しかし、日本には、発電所の架台の間で雪かきができるような小型でパワフルな除雪車がまだ少なく、手作業でパネルの雪下ろしを行っている現場も多い。大規模な発電所では、こうした作業がかなりの重労働になる。一方で、パネルに積雪している状態では発電できないため発電機会の損失になるが、発電所オーナーがこうした除雪コストを想定していないケースも多く、対策が遅れている。

日本向け特製の除雪システム
コンパクトでパワフルに活躍

ドイツ・アルプス山脈で培った除雪の知見を活かし、SunBrushは、地面とパネル上の除雪が同時にできる日本仕様の除雪システムを開発した。「車体前面のブロワーとセンサー付きブラシで、地面とパネル上の両方を一気に除雪できる点が特長です」とSunBrush Japan代表取締役のドミニク氏は語る。

この特製の除雪車は四輪駆動で、4つのタイヤすべてにキャタピラがついている。積もった雪の中でも力強く進み、重たい雪を押し出すことができる。また、横幅はコンパクトな1400mmで低重心のため、傾斜地の発電所でもしっかりと働いてくれる

SunBrush Japanでは、この除雪システムの販売とリースを行っている。すでに、2021年冬から山形などで除雪システム8台が稼働している。豪雪地帯の難題の解決に、ドイツ本社がSunBrush Japanと共同開発した高機能除雪システムが大活躍の予感だ。

98馬力4WDで低重心豪雪地帯も走破

98馬力というパワフルさと、キャタピラ付きの四輪駆動で走れない道はないといっても過言ではない。豪雪の傾斜地でも走破できる。

パネル間を走行できるコンパクトボディ

横幅1400mmというコンパクトなボディと圧倒的なパワーを兼ね備えている。架台間のスペースが限られる日本の太陽光発電所でも活躍する。

パネル角度に合わせてブラシで除雪

洗車用の上質なブラシから10年前に開発された除雪のための専用ブラシ。パネル表面を傷つけることなく雪を下ろす。世界30ヶ国で導入実績あり。

落とした雪はパネルの下に

下ろした雪は通路まで移動させ、ブロワーが通路の雪と共に横へ排雪する。パネル上と通路の雪が連なり重くなるのを防ぐためだ。


通路を塞いでいた大量の雪がパネルの下に納まった。パネルを覆っていた雪もなくなり、たっぷりと発電できるようになった。

パネルを傷つけない
特製ブラシを採用

洗車のために開発された特殊なブラシのため、パネル表面を傷つけることはない。手作業による雪下ろしとは比べものにならないほど除雪の効率がアップする。

 

 

PROFILE

SunBrush Japan株式会社
代表取締役

ドミニク・グリュッツナー氏

問い合わせ

SunBrush Japan株式会社
神奈川県横浜市都筑区牛久保1-21-1
TEL:080-6980-4439


文:山下幸恵(office SOTO)

SOLAR JOURNAL vol.40(2022年冬号)より転載

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