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経産省が「脱炭素」大規模発電所の新設支援 20年収入保証へ
2022/11/29
大型発電施設への 新規投資を促進 脱炭素電源支援制度のイメージ 経産省は10月3日の総合資源エネルギー調査会作業部会で、脱炭素や電力の安定供給を進めるため、新たに創設する制度内容の詳細を明らかにした。脱炭素電源の容量を長 […]
大型発電施設への
新規投資を促進
脱炭素電源支援制度のイメージ
経産省は10月3日の総合資源エネルギー調査会作業部会で、脱炭素や電力の安定供給を進めるため、新たに創設する制度内容の詳細を明らかにした。脱炭素電源の容量を長期にわたって確保する制度措置であることから、「長期脱炭素電源オークション」と名付けられた。供給力を確保する仕組みとしては、すでに容量市場が設けられているが、この制度は容量市場の一部と位置づけられる。
この制度は、電力会社が脱炭素に対応した大規模な発電所をつくる際に、複数年にわたって収入を保証するもので、応募した会社のなかから選ぶ。支援に必要な資金は、電気の小売会社などから集め、支払期間は20年を想定している。最終的には電気代を支払う消費者が制度を支える仕組みとなる。
国の電力広域的運営推進機関が、固定収入を得たい発電所を集めて新たな入札を実施する。電力会社は発電所の建設費用や人件費などをもとに入札価格を提示し、同機関が落札する電源と価格を決める。発電所は落札価格に応じて毎年、同機関から安定収入を得る。落札されなければ、制度の対象にならない。投資回収期間が長い大規模発電事業の見通しを立てやすくして新設を促し、電力不足の改善を図るのが狙い。早ければ23年度の導入を目指す。近年は発電コストが低い再エネの普及で火力発電の収益が悪化するなどして、大型発電施設への新規投資が滞っている。
電源投資の課題(出典 総合資源エネルギー調査会作業部会)
電源別に期限を設定
期限超過にはペナルティ
太陽光発電は5年の供給力提供開始期限を設定
この制度はカーボンニュートラルの実現が前提条件のひとつであるため、制度措置の対象は「発電・供給時にCO2を排出しない脱炭素電源への新規投資」に限定されている。
稼働済みの発電所を脱炭素化する追加投資も支援する。燃やしてもCO2を排出しない水素やアンモニアを燃料に混ぜる設備の改修であれば、石炭火力も対象とする。火力は新設、既設問わず、50年までの脱炭素化を条件としている。原子力発電も支援の対象に含める。将来的に原発の新増設や建て替えが行われる際、この制度を役立てることを想定している。
経産省は、電源の種類ごとに供給力提供開始期限を設定する方針。具体的な供給力提供開始期限は、建設に必要なリードタイムの実態を踏まえて、太陽光は5年(法・アセス済の場合は3年)、風力・地熱は8年(法・アセス済の場合は4年)、水力は12年(法・アセス済の場合は8年)、バイオマスや既設火力の改修は11年(法・アセス済の場合は7年)、原子力発電は17年(法・アセス済の場合は12年)、蓄電池は4年などとする案を示している。電源供給を確保するため、供給力提供開始期限を超過した場合は、ペナルティとして落札価格を容量収入として得られる期間を、超過期間分だけ短縮するとしている。