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【2022年度FIT/FIP】太陽光第13回入札、前回に続き低調。背景に電力市場の高騰か
2022/10/14
2022年度第2回となる太陽光第13回入札の結果が公表された。FIT/FIPともに募集容量を大きく下回り、FIP入札においては募集容量の1割にも及ばなかった。一因として、電力市場価格の高騰が考えられる。
FIPの特高案件は落札なし
FITでは落札容量も件数も半減
電力広域的運営推進機関は8月26日、太陽光第13回入札(2022年度第2回)の結果を発表した。2022年度の入札対象は、FIP認定で1,000kW以上、FIT認定では250〜1,000kW未満となっている。あらかじめ公表された上限価格は、FIP/FITいずれも前回の10.00円/kWhより0.12円低い9.88円/kWhだった。
まず、FIP入札の結果は次の通り。募集容量175MWに対し落札されたのは14.3229MWで、募集容量の1割にも満たなかった。落札件数は10件で、加重平均落札価格は9.81円/kWh、最低落札価格は9.70円/kWh、最高落札価格は9.87円/kWhとなっている。落札案件のうち、もっとも容量が大きいものは日本べネックスの1,999.9kW・9.84円/kWhで、特高案件の落札はなかった。
前回の太陽光第12回入札(FIP)では、落札件数は5件だったものの、大規模な特高案件があったため落札容量は128.94MWだった。中でも、パシフィコ・エナジー徳山の76.8MWがもっとも大型の案件であった。加重平均落札価格は9.87円/kWh、最低落札価格は9.85円/kWhだった。今回、最低落札価格が前回と比べて0.15円引き下げられている。
次に、今回のFIT入札の結果は、募集容量50MWに対し落札されたのが11.8625MW。落札件数は18件で、加重平均落札価格は9.79円/kWh、最低落札価格は9.50円/kWh、最高落札価格は9.88円/kWhだった。
こちらも前回の結果が落札容量24.7647MW、落札件数39件だったことと比べると、容量・件数ともに半分以下に減少した格好だ。前回の加重平均落札価格が9.93円/kWh、最低落札価格が9.80円/kWhだったため、今回0.14〜0.3円と大きく値下がりしたものの、落札容量・落札件数が半減していることから単純には喜べない。(参考:【2022年度FIT/FIP】太陽光第12回入札、初のFIPも募集容量を大きく下回る|SOLAR JOURNAL)
JEPXの価格高騰が低調の一因か
PPAなど相対取引が選ばれる傾向
前回に引き続きFIP入札が低調に終わった一因として、足元の卸電力市場価格の高騰が挙げられる。FIP制度では、市場価格が高騰した翌年はプレミアムがつかないため、PPAなどの相対取引の方が収益性が期待でき、選ばれる傾向にあると推察される。
(エリアプライス平均値(円/kWh)の推移。出典:経済産業省)
経済産業省によると、日本卸電力取引所(JEPX)のエリアプライスは、全エリアで昨年度より上昇しているという。値上がりの幅はエリアによって異なるものの、6.75〜8.09円という上げ幅のインパクトは決して小さいものではない。こうした背景から、FIP入札の参加が伸び悩んでいると考えられる。
さて、電力広域的運営推進機関は、次回の太陽光第14回入札の募集容量について、今回と同じくFIP区分で175MW、FIT区分で50MWの合計225MWと発表した。上限価格は、今回よりさらに0.13円引き下げられた9.75円/kWhとなる。JEPX価格の推移とともに、次回の太陽光入札の結果も注目される。