環境省、脱炭素先行地域に12地域を追加選定 次回募集時期は再検討へ

環境省、脱炭素先行地域に12地域を追加選定 次回募集時期は再検討へ

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環境省、脱炭素先行地域に12地域を追加選定 次回募集時期は再検討へ

環境省は11月7日、二酸化炭素の排出削減をほかの地域にさきがけて進める「脱炭素先行地域」として12道府県12地域を新たに選定した。過去3回の選定と合わせて36道府県74地域となった。次回の募集開始時期は再検討する。

36道府県74地域が 
脱炭素先行地域に

脱炭素先行地域に選定された12地域(出典 環境省)

脱炭素先行地域に選定された12地域(出典 環境省)

政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。脱炭素先行地域は、政府目標を前倒しして2030年度までの脱炭素化実現を目指す。第1回の募集では、昨年4月に横浜市や川崎市など全国26地域が選定された。第2回の募集では、昨年11月に岩手県久慈市や奈良県三郷町など20地域が選ばれている。第3回の募集では、今年4月に山梨県甲斐市や高知県北川村、熊本県あさぎり町など12県16地域が選ばれた。

環境省は11月7日、北海道苫小牧市、宮城県仙台市、茨城県つくば市、千葉県匝瑳市、富山県高岡市、長野県上田市、岐阜県高山市、大阪市、福岡県うきは市、長崎市、熊本県、沖縄県宮古島市の12道府県12地域を新たに選定した。都道府県が主たる提案者となったケースは、今回の熊本県が、第1回目の秋田県に続いて2件目。

重点選定モデルを
優先的に選定

脱炭素先行地域 重点選定モデル一覧(出典 環境省)

脱炭素先行地域 重点選定モデル一覧(出典 環境省)

第4回の募集は、8月18日から8月28日まで行われ、62の地方公共団体から54件の計画提案が提出された。今回の募集では、重点選定モデルを「関係省庁と連携した施策間連携」、「複数の地方公共団体が連携した地域間連携」、「地域版GXに貢献する取り組み」、「生物多様性の保全、資源循環との統合的な取り組み(新設)」、「民生部門の電力以外の温室効果ガス削減の取り組み」の5つに拡充している。環境省は、該当する優れた提案を優先的に選定した。

「施策間連携モデル」に選定されたのは、北海道苫小牧市、千葉県匝瑳市、富山県高岡市、長野県上田市、大阪市、福岡県うきは市、沖縄県宮古島市の7市。富山県高岡市では、中心市街地の飲食店・民間施設などにオンサイトPPAにより太陽光発電・蓄電池を導入するとともに、大型商業施設・宿泊施設の省エネ改修・ZEB化を推進する。

「地域間連携モデル」は、千葉県匝瑳市、大阪市の2市。千葉県匝瑳市では、市の主要産業である稲作農家が集積し、従来から畑作営農型ソーラーシェアリングが導入されている豊和・春海地区において水田営農型ソーラーシェアリングの導入などにより、脱炭素化の実現を目指す。

「地域版GXモデル」は、茨城県つくば市、長野県上田市、沖縄県宮古島市の3市。茨城県つくば市では、筑波研究学園都市の都市インフラである既存の地域冷暖房共同溝を活用した自営線マイクログリッド構築や、廃食用油・魚油などの地域資源の有効利用、グリーン水素混焼可能なコージェネ(CGS)の導入などにより、中心市街地のレジリエンス強化と、脱炭素化を実現に取り組む。

「生物多様性の保全モデル」は、福岡県うきは市。「資源循環モデル」は、富山県高岡市。「民生部門電力以外」は、北海道苫小牧市と熊本県。熊本県では、RE100を標榜する世界的半導体メーカーTSMCや関連企業の進出に合わせ、阿蘇くまもと空港と隣接する産業集積拠点を中心としたエリアにおいて、民間施設に太陽光発電・蓄電池を導入するとともに、ダム湖の水上太陽光発電、木質バイオマス発電などを導入し、再エネ供給によりRE100を目指す企業の誘致を加速させる。

次回の募集時期を
再検討へ

地域脱炭素の推進のための交付金(出典 環境省)

地域脱炭素の推進のための交付金(出典 環境省)

脱炭素先行地域に選ばれた地域には、1自治体あたり5年間で最大50億円が交付される。環境省は、2025年度までに少なくとも100地域を選び、再生エネやEVの導入などを集中的に支援する。環境省の脱炭素先行地域評価委員会は、「コンサルティング事業者を含む事業者などからの提案を、そのまま計画提案としたような提案も引き続き散見された。そのため、地方公共団体が、自らの計画として強いオーナーシップを持ち、自覚と責任を持って主体的に取り組む計画提案を評価していきたい。今後選定される提案は事業実施期間が短くなることから、再エネ導入に際しては計画提案段階で FS 調査や系統連系協議、合意形成などを確実に実施するとともに、事業性を含め実現可能性を深く追求したもの、すでに取り組みが動き出しているものを評価していきたい。さらに安易に交付金に頼らない、事業性の高い提案を今後さらに重視して評価していきたい。採算性の検証における地域金融機関との連携強化や、物品調達方法の工夫など費用低減策を講じることのほか、東京都や川崎市などの太陽光発電設備設置条例に代表される規制や温対法に基づく地方公共団体実行計画の制度などと一体となった提案を高く評価していきたい」としている。

次回の募集時期について脱炭素先行地域評価委員会は、先進性・モデル性や実現可能性を高める提案を促す観点から募集回数を年1回とし、提案団体が検討・調整する期間を確保することを検討すべきとして、2024年2月とされている第5回募集時期についてもあらためて検討をするよう求めている。

DATA

第4回脱炭素先行地域選定結果について


取材・文/高橋健一

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