クリーンエネルギー戦略は「再エネ最優先の原則」で 自然エネ協が提言

クリーンエネルギー戦略は「再エネ最優先の原則」で 自然エネ協が提言

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クリーンエネルギー戦略は「再エネ最優先の原則」で 自然エネ協が提言

自然エネルギー協議会は5月20日、「クリーンエネルギー戦略」に関する緊急政策提言を経済産業省・石井正弘副大臣、環境省・山口壯大臣に提出した。自然エネルギー(再生可能エネルギー)を最大限導入することなど、5つの政策の実現を迫る。

トップ画像:環境省・山口壯大臣(左)に提言書を手渡す、自然エネルギー協議会・飯泉会長(右)

自然エネルギー協議会(会長:飯泉嘉門 徳島県知事)は、34道府県(正会員)と約120社の企業(準会員)からなり、地域特性を生かした自然エネルギーの普及・拡大を加速させることを目指している。今回の緊急政策提言は、国の議論が大詰めを迎えた「クリーンエネルギー戦略」への、地方自治体と民間からの声でもある。提言の概要は、以下の通り。

1.自然エネルギーの最優先・最大限導入

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、燃料の価格が高騰し、G7で最もエネルギー自給率が低く海外依存度の高い我が国のエネルギー安全保障の在り方が再認識された。

エネルギー安全保障の確保から、いち早く海外・化石燃料の依存度を低下させ、第6次エネルギー基本計画に示されている「主力電源として、再生可能エネルギー最優先の原則」を堅持し、自然エネルギーの最大限導入を図ること。

2.カーボンニュートラル実現のための財政措置

IEAは2050年カーボンニュートラルを達成するための世界の投資額として、推計年500兆円と示した。

グリーン投資は成長エンジンの中核でもあり、待ったなしの状況であることから、既存・新規施策の前倒し、積み増しを施すとともに、将来世代にわたり便益をもたらし欧州で実績がある特例国債なども含め十分な財源を確保すること。

3.電力ネットワークの効率化・強靭化

3月に東京電力管内で電力需給が逼迫し、4月には九州電力に続き四国電力、東北電力、中国電力、北海道電力の管内で初の出力抑制が発動され、改めて系統連系線の課題が浮き彫りになった。また、地球温暖化に伴う災害の激甚化や頻発化への備えとして、電力系統のリダンダンシー確保が不可欠となっている。

次世代ネットワークのマスタープランを早期に示し、「再生可能エネルギー最優先」に基づく実効性の高い運用へ、ソフト面・ハード面の総合的な対策を施すこと。

4.脱炭素先行地域の要件簡易化・情報開示

4月に脱炭素先行地域の第一回公募が選定されたが、選定自治体の評価点・評価内容が非公開であり、全国あまねく自治体に選定意図が共有されず、脱炭素の取り組みの底上げになっていない。

カーボンニュートラルの切り札である脱炭素先行地域の要件の簡易化、選定内容開示など、新たに挑戦する自治体の参考とするためにも情報開示を行うこと。

5.カーボンプライシングの導入

世界的なカーボンニュートラルの潮流のなか、カーボンプライシング未実施の我が国では、企業がグリーンサプライチェーンから排除され、国際競争力が低下するおそれがある。

脱炭素社会と自然エネルギー普及・拡大の財源となるカーボンプライシングの実現に向けて、具体的な工程表を示すこと。


取材・文・撮影/廣町公則

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