https://solarjournal.jp/sj-market/45457/
林地開発は安全性の確保を最優先で、地域に貢献する太陽光発電を目指す。
2022/06/21
静岡県熱海市で起きた土石流災害から注目が集まる、太陽光発電事業における林地開発。林地開発に関する検討会が示す設置関連ガイドラインと参考事例について、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)の系統技術部長・田所康樹氏が解説する。
林地開発に関する検討会で
業界の取り組みを紹介
太陽光発電協会(JPEA)は、先頃開催された林野庁の「太陽光発電に係る林地開発許可基準に関する検討会(第2回)」でのヒアリングにおいて、「太陽光発電の健全な普及を目指して」として、最新の取り組み等の資料を示しました。この検討会は、太陽光発電設備の設置を目的とした林地開発の許可基準について見直しを図ろうと議論しているものです。
JPEAは、太陽光発電の健全な普及に当たっては、「安全性の確保と地域に暮らすひとびとの安心」「地域に寄り添い地域に貢献するエネルギー」が不可欠と考え、これに協力しています。ここでは、同検討会に示した資料の中から、設置関連ガイドラインと参考事例についてご紹介させていただきます。
多様化する設置形態に応じた
各種ガイドラインを策定
JPEAでは、太陽光発電に関する計画・設計・施工・保守・廃棄など様々なガイドラインを策定し、広く公開し、健全な普及を図っています。中でも、設計や施工に関しては、NEDO・産総研・構造耐力評価機構等と協力して検討を行い、多様化する設置形態に応じた設計ガイドラインを公開しています。
<ガイドラインの一例>
●地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン
●傾斜地設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン
●営農型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン
●水上設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン
地域と共に創り出す
再エネの拡大に貢献
ここにご紹介するのは、地域と環境への配慮を重視した取り組みとして、JPEA発電事業者連絡会に寄せられた会員企業の参考事例です(一部)。JPEAでは、引き続き、地域と共に創り出す「地域共創・再生可能エネルギー」の拡大に貢献してまいります。
防災面での工夫と配慮
▲清水・濁水を分離した排水路を設置
▲沈砂池とバイオフィルターの設置
▲小堰堤による排水路までの導水路
▲追加排水路の設置、多機能フィルターの設置
地元住民との良好な関係構築
▲住民の見学会
▲市役所の見学会
▲ビオトープ及び水路の設置
▲小動物移動機能付き水路の設置
出典:パシフィコ・エナジー株式会社
PROFILE
一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)
系統技術部長
田所 康樹氏
1993年 荏原製作所入社。1999年 荏原バラード(燃料電池システム開発)。2009年 新日本石油(現ENEOS)入社(燃料電池システム開発)。2017年 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)出向(次世代蓄電池開発)。2021年よりJPEA出向、現職。
取材・文:廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.41(2022年春号)より転載