八十二銀、北陸銀が再エネ事業に参入 地域活性化と脱炭素化を推進

八十二銀、北陸銀が再エネ事業に参入 地域活性化と脱炭素化を推進

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去年11月の銀行法等改正をうけて、全国各地の地方銀行が再エネ事業に参入している。八十二銀行(長野市)は10月、再エネ電力を開発する子会社を設立した。北陸銀行(富山市)は、来年夏頃に専用のメガソーラーから地銀としては国内最大規模の電力供給を開始する方針。両行は新たな分野に参入し、地域経済の持続的な発展と脱炭素化の推進を目指す。

八十二銀 
銀行法等改正をうけ再エネ発電事業へ

再エネ電力の子会社を設立した八十二銀行

八十二銀行は10月3日、電力事業と地域商社事業を担う100%出資の子会社「八十二Link Nagano」を設立した。資本金は1億円。当面は太陽光発電を手がけるが、小水力やバイオマス、地熱による発電も検討する。稼働済みの発電施設を取得するほか、民間の事業を引き継ぐなどして発電施設を増やし、取引先の企業や電力小売事業者などに再エネ電力を供給する。再エネ電力の開発やエネルギーの地産地消を進めるとともに、脱炭素経営に取り組む企業を誘致しやすい環境を整える。

去年11月の銀行法等改正で、銀行は子会社を通じた経営多角化が可能となった。鳥取県と島根県で事業を行う山陰合同銀行(松江市)は今年7月、地方銀行として初めて電力事業を行う子会社「ごうぎんエナジー」を設立した。自治体の遊休地や耕作放棄地を活用して太陽光発電などを行い鳥取県米子市と境港市の公共施設などに電気を供給する。地方銀行が異業種を手がけることは、経営安定化を図るうえでリスクとなることも懸念されるが、同行の場合、自己資本比率などの経営健全性が高い。再エネ事業は個別プロジェクトの採算性が明確でコントロールしやすいことも、事業進出を決断した背景にあるとみられている。

北陸銀
電力供給量は地銀最大規模

太陽光発電所のイメージ図

北陸銀行と北陸電力は10月25日、同行向けに太陽光発電のオフサイトPPA(電力購入契約)を活用した再エネ電力の供給を来年夏頃に始めると発表した。オフサイトPPAとは、電力需要施設とは離れた土地に太陽光発電システムを導入し、発電した電気は送配電ネットワークを経由して電力需要施設に送る「自己託送」システムを活用した電力購入契約。

北陸電力は子会社を通じて出力3145キロワットの太陽光発電所を富山市内の社有地に建設する。発電した電力は、北陸3県の同行の店舗58カ所に全量を供給。年間発電量は約330万キロワット時で、対象店舗の消費電力量の約25%に相当する。地方銀行の取り組みとしては、国内最大規模の太陽光発電施設。

北陸銀行と北海道銀行を傘下に持つ「ほくほくフィナンシャルグループ(ほくほくFG)」はCO2の削減目標について、30年度までに13年度比46%減を掲げる。21年度は39%減だった。発電所の稼働で年間約1,600トンのCO2排出量が削減され、13年度比44%減になる見込み。

北陸銀行と北陸電力は同日、「カーボンニュートラルの推進に向けた連携に関する協定」を締結した。両社は、相互のソリューションを有効に活用し、緊密な連携・協力によって地域のカーボンニュートラルの実現、地域社会・環境の持続的な発展に貢献することを目指す。北陸銀行の中澤宏頭取は記者会見で「北陸銀行が掲げるCO2削減目標を前倒しで達成できると期待している。脱炭素に向けたノウハウを地域社会に還元していきたい」と語った。北陸電力の松田光司社長は「電源の脱炭素化や再生エネルギーの開発を加速させていく」と話した。

北陸銀行は、取引先のサステナビリティへの取り組みを後押しするため、SDGs評価サービスやサステナブルファイナンスなどのサービスを提供している。今年3月には、CO2排出量見える化クラウドサービスを提供する「アスエネ」とビジネスマッチング契約を締結した。今後は、再エネ電力の活用を通して脱炭素に向けたノウハウを蓄積し、ワンストップで地域企業の脱炭素経営を支援していく方針。

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