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3種類の環境価値「非化石証書・Jクレジット・グリーン電力証書」の違いとは?
2022/09/27
環境価値には現在、非化石証書・Jクレジット・グリーン電力証書の3種類の制度がある。しかし、それぞれの特徴が少しずつ異なることから、混乱を招きやすいのではと懸念される。そこで、今回は3種類の環境価値の違いについてわかりやすく解説する。
電気の付加価値を分離して取引
排出量の低減に役立つメリット
そもそも「環境価値」とは、電気に付随する価値を指す。例えば、太陽光発電による電気の価値と、火力発電で発電された電気の価値をイメージしてほしい。電力量は同じ1kWhだとしても、発電にあたってのCO2排出量は太陽光発電の方が少なく、その分、環境への負荷が低いと考えられる。
そこで、環境への負荷が低い電気などがもつ付加価値を「環境価値」として電気そのものと切り離し、取引できるようにしたものが非化石証書やJクレジット制度、グリーン電力証書なのだ。
なぜ、環境価値だけを切り分けて取引するのかというと、より多目的に活用しやすいからだ。具体的にいうと、企業などが必要な量の環境価値を購入し、事業活動で使う電気によるCO2排出量を相殺(オフセット)することで、CO2排出量を実質的に削減できる。
また、特定のイベントや会議などで使用する電気によるCO2排出量を環境価値でオフセットし、カーボンフリーであることをPRするといった使い方も可能だ。
環境価値の由来や取引主体に違い
国際イニシアチブへの活用も可能
非化石証書、Jクレジット制度、グリーン電力証書の概要は次の通りだ。
非化石証書
石炭や石油、天然ガスといった化石燃料を使わない発電方法でつくられた電気のもつ環境価値を取引する形式。太陽光をはじめとするFIT電源の環境価値は、この非化石証書として売買される。“非”化石であるため、再生可能エネルギーだけでなく、原子力発電による電気の環境価値も含まれる。
非化石証書は、資源エネルギー庁が開設した市場で取引される。以前は小売電気事業者しか購入できなかったが、2021年より需要家も一部購入できるようになった。
Jクレジット
再生可能エネルギー発電設備などによるCO2排出削減量を数値化し「クレジット」として国が認証し、売買できるようにした制度。企業や自治体など、幅広い主体が活用できる一方で、クレジットを創出して売却できるのもポイントだ。
例えば、太陽光発電設備の導入や更新を行い、自家消費によって電力会社から購入する電気を代替する場合、一定の条件を満たせば、クレジット化して売却益を得られるケースもある。ほかにも、省エネによるエネルギー利用の合理化や、適切な森林管理によるCO2吸収量などもクレジット化して売買できる。
グリーン電力証書
風力発電やバイオマス発電などによる電気の環境価値を、民間企業である日本自然エネルギー株式会社が国の認証を得て証書化するもの。グリーン電力証書のほかに「グリーン熱証書」もある。企業や自治体などが購入でき、転売は認められていない。
(各種国際イニシアチブと環境価値との整合性について。出典:経済産業省)
これらの環境価値は、国内の温暖化対策推進法(温対法)のほか、CDPやSBT、RE100といった国際イニシアチブなどへの報告に使用することも認められている。なお、この場合、Jクレジットは「再エネ電力由来」であること、非化石証書は再エネ由来であり、かつ、発電所の属性を追跡できる「トラッキング付き」であることが条件付けられている。
DATA
経済産業省 制度検討作業部会
Jクレジット制度
日本自然エネルギー株式会社
文:山下幸恵(office SOTO)